大判例

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大阪地方裁判所 昭和55年(ヲ)832号 決定

そこで、按ずるに、記録によると、伊藤執行官が本件強制執行の基本とした仮処分判決正本には申立人の主張するような主文の記載があることが認められる。

しかし、右主文によつて特定された執行の目的物を申立人所論のように模様、色彩のない手提袋だけに限定して解釈することは次の理由により困難である。

すなわち、右主文によつても、本件仮処分判決が特定した手提袋は「……添付第一図面に示される形状の手提袋」にほかならないのであつて、この文言を素直に読むと第一図面で限定され現定されているのは専ら「形状」上の特徴だけであり、その模様、色彩については特段これを限定していないと解するのが相当である。もし、所論のように第一図が模様、色彩をも限定したものであると解するとすれば、それは用紙の模様、色に限定した趣旨と解するのか、無模様かつ特定の一色に限定した趣旨と解するのか等さらに解釈上の疑義も生ずるのであつて、仮処分裁判所がこのような点も明確にしないままあえて第一図で模様、色彩まで限定したと解すべき合理的な根拠は見出し難い。

そして、右の帰結が正当であることは次のようなことからも裏付けられる。すなわち、記録によれば、本件仮処分判決は被申立人の手提袋にかかる意匠専用実施権に基く差止請求権を被保全権利とするものであるところ、その口頭弁論においては、該専用実施権にかかる登録意匠がはたして物品(手提袋)の形状だけの意匠であるのか、形状と模様もしくは色彩との結合意匠であるのか、あるいは形状だけの意匠であるとしてもその余白の部分は無模様かつ一色と解すべきか否かが当事者間で争われたのであるが(意匠法二条一項参照)、仮処分裁判所は、右は形状だけの意匠であり、かつその図面の余白部分に模様、色彩上の限定はないと解するのが相当である、と説示していることが認められるのであつて、このような理由中の判断によると、仮処分裁判所がその主文において該意匠専用実施権侵害物件として特定した目的物について特段、模様や色彩について限定しなかつたことは、間接的にせよ、明白である。

そうすると、伊藤執行官が模様、色彩を無視し専ら主文で示された形状上の特徴にのみ着目してした本件仮処分執行はもとより適法である。

よつて、申立人のした本件執行方法異議の申立は理由がないからこれを棄却する。

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